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「おはよーございまーす」
「おはよ。さすがに入学式の朝は早起きやね~、って、朝ごはんの前に制服に着替えたら汚すわよ?髪はそれで良いと?鞄は?」
まったくお母さんったら口を開けばお小言なんだから!
今日から中学生なんだよ!大人料金になるんだよ!もう子どもじゃないってーの。
言いたいことはイッパイ有ったけど今日はやめとこ。
そんな事を考えながら もも は食卓に着いた。
「ねぇ、お母さん。やっぱりこの制服大きすぎやない?なんかガポガポするよー」
「何言ってるの?今から成長するんだから良いの!」
初めて来たセーラー服は想像以上に重くてびっくりした。
今日から中学生!
不安と期待が入り交じって何だか落ち着かない。
「そろそろ行こっか?」
いつの間にかよそ行きに着替え化粧したお母さんが声をかけた。
もも は慌てて残りの朝ごはんを詰め込んだ。
車に乗り込み、シートベルトを閉めた。真新しい濃紺のセーラーの胸元に真っ白い米粒を見つけた…お母さんに見つかる前で良かった
やっぱり明日からはご飯食べてから着替えよう。
コソッ…と素早く米粒を取り、ももは素知らぬ顔で窓を開けた。
外は良い天気。暖かい陽射しの中、顔に当たる風が気持ち良かった。
そして、徐々に見えて来た中学校…
今日からももが通う東南中学校の門をくぐり、お母さんが言った。
「お母さん車止めて来るけん、先に降りてクラスを確認したら?」
ももは車を降り、高鳴る気持ちのまま小走りで人だかりができている昇降口横の掲示板へ向かった。
誰かに教えてもらうんじゃなく、自分で探して確認したい!
そう思って急いで探した。
有った。5組だ。
仲の良い友達は…みんなバラバラだ…
グンと不安な気持ちが大きくなった…
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