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ぼくのおうちには犬がいる。芝生のはられた庭にいる。パパがお休みの日に木で作った「たろうのおうち」にいる。
ぼくの苦手な犬がいる。
たろうは弟が土手で拾ってきた雑種で、そのときは小さかったのに、今ではぼくと同じくらいの大きさがある。
「たろう」
たろうが来たばかりのころ、ぼくはおうちの窓から庭にいるたろうの名前を呼んだことがある。窓は閉まっていたけど、たろうはこっちを向いて、しっぽをフリフリふってくれた。
ぼくは嬉しくなって庭にでて、たろうを撫でようと顔にむけて手を出した。
カプ
たろうはぼくの左手をかんだ。しっぽをふりながら、ぼくをかんだ。
「ウワーン」
ぼくは左手をばっと引いて、泣いた。ママが急いで、ぼくのとこまで走ってきてくれた。
「どうしたの」
ぼくはママに抱きついて左手をあげた。
「たろうが、かんだ」
それからぼくは、たろうだけじゃなく、犬自体が怖いと思うようになった。
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