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その斧が振り下ろされた刹那、ボルグの片腕と共に斧が宙を舞った。
情けない悲鳴を上げ、ボルグは膝をついた。
「俺のっ!俺の手がぁ~っ!」
次の瞬間、その喉元に美しい竜の装飾がなされた白銀の槍が突き立てられる。
風の抜ける音のような息を吐き、ボルグは絶命した。
少年は顔を上げ、槍の持ち主を見る。
そこには、まばゆいばかりに輝く銀色の甲冑に身を包み、二本の槍を携えた騎士が立っていた。
「貴様らにも同情すべきなのだろう。だが、民まで手に掛ける非道を許すわけにはいかない……」
呆然と成り行きを見ていたベルグも我に返り、武器を構える。
「てめぇ!俺の弟をっ!」
騎士は静かに槍を構える。
「元は同じ民。しかし、刃を向けるなら容赦はしないっ!」
早過ぎて少年の目には事の終わりしか見えなかった。
白銀の騎士が槍の血振るいをすると、立ち向かって来たベルグは血飛沫を上げ、肉塊へと変わった。
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