歪みの掟

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歪みの掟

 そのかが加わり五人になった『私』たちのターゲットは、一ヶ月経った現在でも依然として弓咲朋巳だった。こんなに長く続くことは今までにはない。  長くても、半月とちょっと。その頃には、大抵は飽きた。  なぜ、いまだに朋巳が対象であるかと考えたことがある。  その理由は簡単だった。  五人になり、誰が決めたともなく、虐めをする上でのルールが出来たことだ。  虐めのルールはたった一つだけであり、また簡単だった。  どんな虐めをするかを五人が一人ずつ順番に考案し、実践するだけ。  このルールによって、『私』は見ているだけの立場ではなくなった。  ルールに逆らおうものなら、次のターゲットにされるという絶対的な強迫観念が植え付けられていたからだ。  仲間なんて、友情なんて脆いものだと、そのかは身を持って『私』たちに見せ付けた。それが『私』たちの間に通用しないはずがない。参加は絶対だった。
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