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放課後、『私』たちは屋上にいた。
こっそりと物陰に隠れ、屋上の扉付近に佇む朋巳を見ていた。
『私』たちが呼び出したのだ。朋巳は『私』たちの存在には気付いていない。
朋巳はきっと驚くだろう。これから朋巳の前に現れるのが『私』たちではなく、他の人物だと知ったら。
息を潜めて五人が固まって隠れていると、間も無く誰かが屋上への階段を上ってくる気配があった。きっと今回のサブ主人公だろう。『私』たちの待っていた……。
軋みの音を立てて、ドアが開いた。
どんな虐めをされるのかとおどおどしていた朋巳は、その人物を見て目を見開いた。
朋巳が知らないはずがない人物だった。
恋心を密かに抱いていた男子生徒。その男子生徒が朋巳の目の前に現れた。
その手には、乙女チックなパンダの絵柄が表面を飾る封筒が一つ、握られていた。
そのかが書いた、この男子生徒宛てのラブレターだった。ただし、送り主はそのかではない。今朝の『虐めの第一段階』とは、登校してきた男子生徒が、下駄箱に入ったラブレターを見つける所を見届けることだった。
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