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「あ、あの……」
状況を理解できていない朋巳の上擦った声が届いた。好きな相手に真剣な顔をして見つめられたのだから、頭の中は白い光の洪水となっているに違いない。
「悪い――」
男子生徒が口を開く。
「俺、お前とは付き合えないや。ごめんな」
「えっ……!?」
予想していなかった言葉に、朋巳は固まった。
何を言っているのかを訊ねようにも、何から訊けば良いのかわからない、という戸惑いの顔。そうこうしているうちに、男子生徒はバツの悪い顔をしながら、逃げるように屋上を駆けて出て行ってしまった。
残された朋巳は呆然とするばかり。
朋巳が足元に落ちた封筒に気が付くのには、一分ほどの間があった。男子生徒が落としたラブレターだった。
何気なく拾った朋巳は、封筒の中にあった便箋を取り出して読み始めた。
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