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こうして、日記にも書かない子供じみた遊びに興じ、高校という枠に収められた毎日を、『私』たちは楽しく過ごした。色彩を欠いた扁平な学校生活は、虐めという絵の具を付け足されて、その風景を一変させた。
ほんの気紛れから始まった、下らない遊び。しかしそれは、やがて『私』たちの間に溶け込み、学校生活の一部に組み込まれていった。
それからというもの、『私』たちの虐めの輪に笑みが絶えることはなかった。
花がほころぶと形容したくなる魅力的な笑み――。
だがそれは、善悪の区別がついていない幼子が、無邪気に虫の命を奪い取る過程で、もがき苦しむ様を面白そうに観察している状態にどこか通じるものがある笑みだった。
そう、邪気のない笑みだ。
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