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『私』たちに悪意はなかった。
そこに介在するのは、歪んだ心と成長し切っていない精神であり、つまりは、『私』たちが大人に成りきっていない子供だということを示しているに過ぎない。
こうして客観的に、かつ深層の域にまで入り込んだ分析ができるのも、単に『私』が虐めの輪の中にいながら、何もせず、何も言わない立場にいるからだ。
ただ、見ているだけ。
それが『私』のスタンスだった。
虐めに面白みを見いだせず、それでいて虐めを受ける立場に変わってあげることも庇ってあげることもできず、弱い自分をさらけ出しながら傍観者に徹する。
結局、虐める側の人間を子供だと言っている『私』自身は、大人でも子供でもない中途半端な人間でしかないことを思い知らされただけだった。だから傍観者の立場から抜け出せずにいる。
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