私の形

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 『私』の悩みなど意に介さず、世界は太陽の傾きと共に刻々と表情を変え、昼と夜とを幾度となく繰り返した。  その間にも、虐めの対象は飽きが来るのを境に変えられていった。  と同時に、虐めが段階を踏んで残虐性を増していくのは当然で、太陽が東から昇り、西に沈まなければならない世界の決まり事みたいなものでもあった。  他愛もない遊びが感覚を麻痺させ、仲間が歪んでいくのが傍観者の『私』には手に取るようにわかった。  『私』だけが取り残された。
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