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侵食する現実
『私』たち四人は、担任の教師が教室にやって来るまでのちょっとした時間を、どこかそわそわしたまま実りのない会話で潰していた。
四人全員とも、意識が会話から反れているのは明白だった。 ちらちらと教室のドアを見ては会話に戻り、またちらちらとドアを見る。その繰り返し。
『私』を除いた友達三人の顔に浮かぶのは、いずれも華やかな笑顔だった。
時折盗み見るドアから『虐めの第一段階の結果』を見届けに行ったもう一人の仲間が戻って来るのを待ちわびているのだ。
そわそわしているのも、会話に気が入らないのも、笑顔であるのも、思考がそちら側に向いているのだから当然といえば当然だった。何しろ、学校の風景により幅と深みを出すことのできる新たな色の到着なのだから……。
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