記憶の断片

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  「おいしぃで。毒味はバッチシしたし、安心して!アハハ」 と、結恵が笑うと、アサミも笑い、アサミはお粥を口にした。 「おいしぃ?」 「うん、おいしぃ」 「やんね。やっぱナオヤが作る、お粥おいしぃわぁ」 と言い、結恵は笑った。 「えっ…」 アサミは食べる手を止めた。 「このお粥、ナオヤが作ったんちゃぅん?」 「…」 コクッ アサミは何も言わず、頷いた。 俯くアサミに、結恵は優しく話しだした。 「ナオヤってね、実は料理全然できへんねんで!」 「え!?」 思わず、アサミは結恵を見た。 「アハハッ、そうそぅ。そういう反応なるゃんね。こんだけおいしぃお粥作るから、料理できるっぽぃょね。けど、ちゃんと作れるのは、お粥だけ!」 「そ…そぅなんゃ」 「なんでお粥だけか気にならん?」 「…ぅん…」 「それはね…内緒」 「え?」 「なぁ~いしょ、アハハハ」 と、結恵は笑った。 それにつられて、アサミも笑顔になった。 「良かった、笑ったぁ」 と、アサミを見て、結恵はニコッと笑った。 少し笑いあった後、結恵はアサミに言った。 「ナオヤに…なんかされた?」 結恵の言葉に、アサミは止まった。 そして、震え、目から涙が溢れ出た。 結恵はアサミに近づき 「落ち着いて、大丈夫。大丈夫やから」 と、アサミを落ち着かせた。  
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