記憶の断片

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  中に入り、アサミの様子を見に行くとぐっすりと眠っていた。 おでこに手をやり、熱をはかると、そこまで熱くはなかった。 (熱は下がったみたいやな) しかし、目の回りが赤く腫れていたのが少し気にかかった。 「アサミね、さっき寝たところやねん」 『そうなんや。あっ、あのさ、橘が来た時ナオヤおらんかった?俺用事があって、あいつにアサミのこと頼んでたんやけど』 「…」 『ん?』 「あ…おらんかったよ。私が来たとき、アサミしかおらんかった。…ナオヤと連絡とれんの?」 『そうやねん。電話してもかからんし。なんやねん。帰るんやったら連絡してくれればええのに』 「…」 『どしたん?』 俯き何かを考える結恵に、俺は尋ねた。 「ん?なんでもないよ」 と、愛想笑いをしながらこたえる結恵。 その笑顔に疑問を感じたが、それ以上深く聞かなかった。 すると、結恵がいきなり 『三神君さ、ここに来る前、女の子とおらんかった?』 と、聞いてきた。    
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