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俺は焦った。
突然の問いに目が点になり、頭が真っ白になった。
ツグミと一緒にいる所を結恵に見られていた…。
全く予期もしてなかった事が起き、なぜか俺は罪悪感でいっぱいになった。
しかし、焦ってるのもおかしいと思い、結恵に気づかれないように、冷静さを装い言った。
『あ~~。あれ?あいつはしょき…しょく堂で働いてる女で、俺のせいで足くじいたから、おっく…送ってっただけで…』
(…最悪。噛みまくってるょ~俺!!しっかりしろよ、俺!!!)
冷静さを装おうとしたものの、言葉を噛みに噛み焦っているのがまるわかりだった。
「あ…あぁ、そうなんゃ。その子、足大丈夫なん?」
『え?あぁ。少し捻挫ぽかったから、明日病院まで連れて行こうと思って。アサミも調子わりぃし、一緒に連れて行こうと思っとる』
「…そうなんや…」
『?』
結恵の顔が少し暗くなったように感じた。
(ん?俺なんか悪いこと言ったか?…ってか病院…?!)
『あ~~~~~~~!!』
いきなり大声を出したので、結恵は驚き、俺を見た。
「ど…どしたん?」
『明日、病院行くのに車がいるんやった。ナオヤを頼りにしてたのに、あいつと連絡とれねぇし。俺が遅かったから怒っとんのか?もっかい連絡してみるか…はぁ~』
俺は大きなため息をつきながら、携帯を取り出し、もう一度ナオヤに電話をしてみた。
…プッ
「おかけになった番号は、ただ今電波が届かないところにおられるか、電源が入っていない為かかりません」
ブチッ…
『な~んでやねん!!電池ぎれか?頼りのナオヤが明日無理やったら終わりやしな。…ヤスは車持ってへんしなぁ…』
と、俺が悩んでいると
「私が車出そうか?」
と、結恵が言った。
『え?橘って車持ってんの?』
「うん、一応。あ!!でも、そんなイイ車じゃないで」
『ぜ~んぜんいい!!え?でもホンマええん?てか、橘が車乗ってるとこ想像でけへんな、アハハ』
「なにぃ?!そんなん言うんやったら、もう知らぁ~ん!車出さへん!!」
『じょ…冗談、冗談。どうかどうかお願いします~結恵さまぁ~』
と、俺が必死に頼むと、その姿が面白かったのか、結恵は膨れていた顔から満面の笑みへ変わり、笑った。
(やっぱ好きや)
俺は笑う結恵をみて改めて感じた。
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