記憶の断片

20/24
前へ
/121ページ
次へ
『あ、起きたんや。大丈夫か?熱はかって…』 ド゙サッ 熱を計ろうと近づいた途端、アサミが俺に飛びついてきた。 『ちょ、あ、アサミ?何やねん?どしてん?』 「…たけるぅ…」 涙声で俺を呼び、ぎゅっと俺を抱きしめた。 俺の肩にジワジワと冷たさが伝わってきた。 アサミは泣いていた。 俺はアサミの頭を撫でた。 そして、アサミが落ち着くのを待った。 すると、その様子を見ていた結恵が 「あ…あの三神君?私帰るね。アサミの事よろしくね。明日の事はまたメールするから」 と言い、早々と出ていった。 『おっおい!!たち…』 ガチャッ 『絶対誤解して帰ったよな…』 「…」 『はぁ~どしたんや?アサミ?何があってん?』 俺はアサミの頭を撫でながら言う。 「…」 『橘とケンカしたんか?』 アサミは首を振った。 『まさか俺が遅かったから、寂しかったんか?ハハ』 首を降る。 『…あっそ。んぢゃ、なんや?』 「…」 『まぁ、ええけど。そんな泣いたら、目腫れてぶっさぃくになんで』 「…うるさぃ」 『お!!くいついた!そやな。これ以上ぶっさいくになることないか』 アサミは俺から顔を離し、俺を睨み 「タケのばかぁ!!」 と言い、俺の胸のあたりを殴った。 『うわぁ!いてぇ!てかお前、顔涙でぐしょぐしょやんけ』 そういいながら、俺はアサミの顔を服の袖でふいた。 『まじ目腫れるかもな。そんな顔で行ったら、明日アサミの親父に怒られそうやな、俺』 「…え?お父さん?なんで明日??どこに行くん???」 驚いて理由を聞いてくるアサミに、明日病院に行く理由を説明した。  
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加