記憶の断片

22/24
前へ
/121ページ
次へ
  (?) 『どした??』 「…何でもない」 俺に背をむけ、アサミは言った。 アサミの様子が、おかしい事に気づいたが何も聞けなかった。 俺はアサミに近づき、アサミの目の上に冷水で冷やしたタオルをのせた。 「冷たっ」 『我慢しろ!明日、目腫れてぶっさいくになってるよりマシやろ?それ以上ぶさいくになられたら嫌やしなぁ、アハハ』 「…」 (やべ…言い過ぎた?) 『いや、まぁ黙ってたら可愛いと言えんこともないけどな、ハハ』 「…タケ?」 『あ?』 「ありがとう」 『あ…あぁ』 (やけに素直やな) 『あ!!そうや。ナオヤさ、いつ頃帰ったん?なんか帰るとき言いよった?ナオヤの携帯に連絡いれたんやけど、つながらへんねん』 「…」 アサミは一瞬硬直した。 『どした?』 「…ん?な…なんでもない。ナオ君…ご飯作ってくれよったんゃけど、いつのまにか私寝てもてて…起きたらおらんかった…」 『あ、そうなんや。なんか急な用事でも入ったんか?てか、アサミ震えとるやん。寒いんか?』 俺は布団から出ているアサミの手を握り、布団の中に入れようと思った。 『冷てぇ手やな』 「…タケ…」 アサミが俺の手をギュッと握る。 『ん?』 「私、タケの事好きやで」 と、アサミは言った。    
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加