記憶の断片

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  『は?急になんやねん。また熱あがって変になったんか??ハハ』 アサミが俺を見つめる。 『あ~はいはい、俺も好き好き』 と、俺は適当に応えた。 「うそつき」 『あ?なんやねん。俺はアサミの事、大切や思っとうでな。…幼なじみやし』 「…」 『はっず。なんでこんな事言わなアカンねん。もう気がすんだやろ!寝ろや』 「…幼なじみとしてね。タケにとって一番大切なのは、昔も今もあの子やもんね」 『は?昔も今も?そんな奴おらんし。あの子って誰やねん?』 「…」 『誰や?』 「おやすみ」 アサミは握っていた俺の手を離し、布団にもぐった。 『は?なんやねん、それ。誰やねん』 アサミは答える事なく、寝てしまった。 (あの子って誰やねん!!まさかアサミの奴…俺が橘の事好きなん知ってたり?いや…ちがうか。昔も今もっていいよったしなぁ…。そんな奴、今までにおらん…よな) 俺は昔の事を思い出そうとした。 その時 「たける」 『え?』 背後から呼ばれた気がして、俺は声のした方に振り返った。 が、誰もいない。 (気の…せいか…) ズキッ 頭が急に痛みだした。 『痛てぇ…』 頭をおさえて、そのまま俺は横になった。  
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