ライバル

4/5
29人が本棚に入れています
本棚に追加
/121ページ
  『た…橘…』 俺は先程までの苛立ちを忘れ、結恵が目の前にいることに戸惑いテンパっていた。 「はょ。どしたん、結恵?」 俺がテンパっているのを察して、ナオヤが結恵に話しかけた。 「あのね…金曜日のお礼したくて…今日空いてるかなと思って?」 (金曜日…?) 俺は結恵を抱きしめた事やクサイ言葉を言った事を思い出した。 (ヤバッ…恥ずッ。目合わせらんねぇ) 俺は金曜日の事ばかり考えていて、話を聞いていなかった。 「そんなんぇえのになぁ、タケ?」 『…』 「タケ?」 『え?…あぁ』 「アカンょ!!ちゃんとお礼したぃし」 結恵は引かなかった。 「ん~どうする、タケ?結恵って、頭かてぇから絶対イエスって言うまで引かんで」 「頭かたいってなんよぉ!!」 「え?そのままの意味ゃけど?ハハッ」 「むぅ!!ナオヤのアホっ!!ナオヤはもぅいいし!!三神君にお礼するし!ね?三神君???」 『ん?え…あぁ…』 「アカンわ、コイツ思考能力停止中ゃ」 俺はナオヤが言うように何も考えられなかった。 俺はぼーっとナオヤと結恵が喋っているのを聞いていた。 「ん~…やっぱさ、お礼とか堅苦しいのはいいからさ、一緒に遊ぼぉゃ!!結恵の友達も呼んでぇえし」 『…』 「ん~…。ホンマぁ?そんなんでぇえん?ん~んぢゃ、それでいっか。また詳しい事は授業の後で話そぉ」 そういうと結恵はニコッと笑い、俺達に手を振りながら自分の席にへ向かった。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!