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「結恵って、けっこぉモテるんょな」
さっきまでトイレに行っていたナオヤが俺の隣に座り、俺の視線の先を同じように見つめて言った。
『おわっ!!お前いつ帰ってきたん!?』
「さっき。声かけたんやけど、全然俺のコト気付かんし」
『あっ…そぅなんゃ』
ナオヤはニヤッと笑い
「結恵って見た目そんな目立つタイプちゃぅケド、けっこう人気あんょ。性格ぇえし、なんか惹かれるもんがあるんやろな。高校ん時も彼氏おるのに、けっこう上位におったしな」
と言う。
そして続けて
「タケ…。けっこぉ大変かもなぁ」
と今度は真剣な顔をして言った。
俺はまた結恵を見た。
結恵は俺の視線に気付きこっちを見た。
ニコッと可愛い笑顔を見せた。
俺はその笑顔を見た瞬間、心臓が破裂するのではないかと思うぐらぃドキドキした。
結恵と話していた男は結恵が俺達を見ているのに気付くと、俺達を睨んだ。
そして、俺に見せつけるように結恵とまた喋り始めた。
結恵もそいつの方に向き直り楽しそうに喋り出した。
俺は結恵と話す男を憎く感じた。
好きになるってこういう事なのか。
胸が締め付けられる程ドキドキしたり、嫉妬で狂いそうになったりする。
こんな気持ちになったのは何年ぶりだろうか。
俺はいろんな思いを抱えたまま、ただ授業が始まるまで、ぼーっと結恵を見ていた。
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