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  「タケ、今日お前変ゃで。ぼーっとしすぎ。結恵と遊ぶからって緊張すんなゃ」 家に着くなりナオヤは俺に言った。 『緊張なんかしてねぇ』 俺は靴を脱ぎ捨て、奥に入っていった。 「じゃあ、なんで今日だんまりな訳?」 ナオヤも靴を脱ぎ俺の後を追って中へ入った。 俺はソファーに座り、ふぅと一息つくとナオヤを見て言った。 『別にそんなつもりじゃなぃんやけど、橘の事考えてた。俺は橘の事、好きなんゃろか…ってな』 「…」 『他の男と橘が仲良くしとる所を見てると苛立つし、胸がむしょぅに痛くなる。でも、そこに入っていく勇気がなぃねん。俺のこの気持ちって何ゃ?ホンマに橘の事好きなんか?この思いが好きって事なんか?………。ようわからんねん』 俺はため息をつき、テレビをつけた。 黙って聞いていたナオヤが真剣な顔で話し出した。 「タケの思いがホンマの恋かどうかは、タケがわからんねゃったら俺にもわからん。けど、結恵と近づく事で結恵への気持ちが何なのかわかるかもしれんゃん」 『……かもな』 ナオヤは俺の返事を聞くとニカッと笑い 「とぃう事で今日は楽しもぉぜぇ!!」 と、いつものナオヤに戻り、俺に笑いかけた。 俺は少し吹っ切れた。 『ゃな!おぅ楽しもぉぜ』 俺とナオヤは笑いあった。 (悩んでてもしょうがねぇな。もっと橘の事知りてぇ) 俺はそぉ思った。
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