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「痛てぇょ、タケ。どこまで行くねん。てか、なんゃねん!!」 トイレの前の廊下でナオヤは言った。 ちょうど誰もいなかった。 『…』 俺はナオヤの腕を放した。 「タケ?どしたん??」 俺はナオヤの方に向きなおり、言った。 『お前、アサミの事好きなん?』 「え…」 『どうなん?』 「…」 ナオヤは黙りこんでしまった。 『おぃ、ナオヤどうやねん。…てか、行動が明らか変ゃろ』 「え?!どぅ変やった?」 急にナオヤが焦りだした。 俺はその焦る姿を見て、吹き出してしまった。 『ぷっ!!アハハハッ!!ナオヤ焦りすぎ!!てか、あそこでアサミを持ち上げるのがありえんゃろ!』 「え…あっ、そうゃな…ハハハッ」 俺達は顔を見合わせて笑った。 「…タケ…」 『ハァ、ハァ…あ?』 俺は笑い過ぎて息が切れていた。 しかし、次にナオヤが言う言葉に、俺は停止することになる。 「…俺、アサミちゃんの事好きなんゃわ」 今まで笑っていたのが嘘みたいに真剣な顔でナオヤは言った。 『…』 「何となくお前に言いにくくて…言えずにおったんゃけど…」 『…』 「…」 『…プッ、アハハ。何気使っとんねん。お前の好きな奴ってアサミかょ。趣味悪りぃ。アハハ』 俺が笑って言うと、ナオヤは 「…良かった…」 と、安心したょうに笑った。 「てか、アサミちゃんは可愛ぃで!!お前が絶対おかしぃねんって!ずっと一緒におって好きになんねぇのがおかしぃやろ」 『はぁ?絶対ありえん。まっ、俺は応援してるから』 「お…おぅ。ありがと…。あっ!俺がアサミちゃんの事好きやからって、気使わんでぇえからな!いつも通りにな」 『おぅ、わかってんょ。俺が応援してやるんゃから、頑張れよ!あ~~けど、アサミ鈍感やからなぁ』 「ええねん!ゆっくり進むから…な。てか!!タケはどぉやったん?結恵と二人きりになって…チュッでもしたか?笑」 『んなわけないゃろ!』 「やっぱアカンかったかぁ~。お前も頑張れょ」 『おぅ』 俺達はそれからいろいろと話しながら席に戻った。 この時、この話をアサミが聞いていたとも知らずに。
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