幼なじみ

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‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥ …誰かが喋っている。 「…な…き…てる…」 『…え?』 「もぉ、ちゃんと聞いといてょ!!明日記念日やん?やからお祝いしなって言うてんの!」 『あ~…そっか』 「あっ…忘れてたんゃ。もぉ知らん!!』 彼女は怒って、そっぽを向いてしまった。 『怒んなって💦明日、楽しみやな。どこ行こか?』 「え?!えっとえっとね…!!」 彼女は振り返り、机いっぱぃに広げられた旅行用パンフレットを探った。 『アハハッ、単純!』 「ぅう~意地悪!!」 彼女は頬を膨らませ、また怒った。 『俺はそういうとこ好きやで』 俺の言葉に嬉しそうに笑った。 その笑顔はとても可愛かった。 そして彼女は俺に向かって言った。 「私もタケ大好きぃ」 ‥‥ ‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 「…?」 「…ケ…」 「タケ!!」 バサッ 俺は飛び起きた。 『…ここは…?』 「私ん家。大丈夫?」 俺は辺りを見回し、現実へと引き戻された。 …俺はあのまま寝てしまったらしぃ。 「タケ、大丈夫?」 『…ぉお』 「涙…出とるで」 『…え?』 俺は頬に手をやると目から涙がポロポロとこぼれていた。 『ぅわっなんやこれ』 「なんか怖い夢でも見たん?」 『夢…?あぁ…。なんか…懐かしいような、でも思い出したくないような…。ようわからん夢見た』 「そっか…」 アサミは何かを察したようでそれ以上話を追求してこようとも、触れようともしなかった。  
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