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『じゃあ、何でやねん』
「俺…。…俺、アサミちゃんの事好きや。やけど、お前ともずっと今まで通りつるんどきたいねん」
『は?お前がアサミを好きでも、俺達は別にかわんなくね?意味わかんねぇ』
「そうやねんケド、ちゃうんや。…昨日もタケらが何もなかったってわかっとる。俺はタケを信じとるし、俺がアサミちゃんの事好きなん知っとうから、絶対手出さんのもわかっとる。やけどな、昨日のあんなとこ見たり、アサミちゃんの事を1番わかってんのはタケやって思いしらされたりすると…俺…頭ではわかっとんやけど、ここがモヤモヤして気持ちが抑えきれんくなんねん」
と、ナオヤは自分の胸を押さえて言った。
そして続けてナオヤは言う。
「やから、このままアサミちゃんを好きでおるのが怖なった。アサミちゃんを好きになればなる程、タケの存在が羨ましくて、それを思うと憎くなって…今までの関係が壊れてまうんちゃうかって…。俺はお前とこれからも親友としてやっていきたい。やから…」
『…』
バコンッ
「!?痛っっっ!!」
俺はナオヤを思いっきりぶん殴った。
そしてナオヤの胸ぐらを掴んだ。
『お前何言っとん?それ本気で言うとん?何が俺と親友でおりたいからとか言うとんねん。そんなん言い訳やろが!!お前はアサミに本気になるのが怖いだけやろ!!それを言い訳がましい事言ってんじゃねぇ!!本気で好きになんやったらな、そんな小せぇ事気にせんと突っ走れよ!!』
「…」
ナオヤは俺をずっと見ていた。
『俺は何があっても…お前が俺に思いをぶつけてきて、喧嘩になったとしても、お前を裏切ったりしねぇ』
俺はナオヤの胸ぐらから手を放し立ち上がり、ナオヤに背を向けた。
そして拳を握った。
その手は少し震えていた。
『…やからお前も俺の気持ちを裏切んなよ』
その声も少し震えた。
俺は精一杯の思いを、ナオヤにぶつけた。
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