記憶

7/11
前へ
/121ページ
次へ
何度考えても思い出せない。 ツグミの事を考えると、なんだか胸の奧がモヤモヤとして気持ちが悪い…。 (いったぃ誰に…) 「タケ?」 『…』 「お~い」 『…』 ポカッ 『いてぇぇえ!!』 「お前何しとんねん!!結恵帰ったで!」 『…え?』 「え?じゃねぇって!!お前らが女の話で盛り上がっとるから、愛想つかして行っちまった」 「えぇぇえ!!!ナオヤそれマジ?うわ~最悪や…。俺、結恵と全く喋ってへんのに…。てか、女の話しとったから結恵のやつ!!まさか…誤解してんじゃ…。誤解すんじゃねぇ~結恵ぇ~俺はお前が好きなんゃ~~~~~~!!」 「『…』」 「…まぁ、ヤスはほっといて…。おぃタケ、何初めて見た女の事ばっか考えとんねん。お前らしくもねぇ。そんなんやとホンマに結恵に愛想つかされるで」 『…あぁ』 「は?なんやねん、それ。ホンマどうしてん?」 『…なんかどうしても思い出さなあかんような事がある気がして…』 「ん?…まぁそんな深刻そぉな顔すんなゃ。そのうち思い出すやろ。それより、後でちゃんと結恵にメールか連絡しろよ。お前が他の女の事考えてんの、けっこぉ気にしてたみたいゃし」 『あぁ…。って…何で橘がそんな事気にすんねん』 「あ??」 ナオヤは俺の顔を見てため息をついた。 「鈍感!!」 『は?なんやねん!!』 「鈍感な奴はほっといて、食器片付けに行こっと」 『え?何が鈍感やねん!!教えろや~~!』 「さぁ?自分で考えぇや。おぃ、ヤス!!ヤスって!!叫んでねぇでサッさと食器片付けに行くぞ!」 「ナオヤぁ~~。俺、結恵に嫌われたかなぁ??涙」 「ぅわっ…何泣いとんねん。大丈夫やって、結恵はそんな奴じゃねぇよ。やろ?」 「ナオヤぁ涙。そうやんな~結恵はそんな奴じゃねぇよなぁ。………」 ガシッ 「うわっ!!くっつくな!」 ヤスは泣き、ナオヤに抱き着く、そんなヤスをナオヤは嫌がりながらも慰める。 周りの視線は二人に集まり注目を浴びる。 その光景を眺める俺…。 『何やっとんゃ、あいつら…』 俺はそんな光景を眺めながらも、ツグミの事を考えていた。 どうしても頭から離れなかった。  
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加