記憶

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スーパーに着き、とりあえず食材などを見て回った。 『まぁ、適当に買って行くとして…。アサミどれがぇえんやろな。いらんもん買うとうっさぃからな~』 「アサミちゃん、コレが好きや言いよったで」 ナオヤはアサミが気に入っているものや、好きだと言っていたものを手にとりかごに入れていった。 『お前、アサミの事よぉわかっとるやん』 「え…そんな事ないやろ」 と、ナオヤは言い顔を赤くした。 俺はそんなナオヤを見てほほえましく思った。 ある程度買ったので、レジを済ませ店を出ようとした。 その時、俺達が出るのと同時にツグミが店に入ってきて、すれちがう形になった。 俺は思わず… 『あっ…!!』 と、声が出てしまった。 すると、ツグミは振り返りこっちをみた。 俺もツグミを見ていた為、目が合った。 俺は頭が真っ白になり、気付いたらツグミに声をかけていた。 『あの…。食堂で働いてた子やんな?』 ツグミは眉間にしわを寄せ、俺を怪しむように見た。 「そうですけど…何ですか?」 『…いや…あの』 俺は口ごもった。 すると、横で見ていたナオヤがツグミに話しかけた。 「あ~もしかしてツグミちゃん??」 ナオヤに視線をうつしたツグミは、さらに怪しむ目でナオヤを見た。 「そうですけど、何ですか?それに名前…?」 「やっぱそうなんや。俺達厨房の姉様達と仲良いねん。んで、今日初めて見たツグミちゃんの事が気になって、姉様達に聞いた訳。っていっても気にしてたのはタケやけど」 と、ツグミに笑顔で話しかけるナオヤ。 それを少し不機嫌そうにツグミは見ていた。 『おい!!俺は別に…!!』 「まぁまぁ。なぁ、ツグミちゃん?いきなりなんやけど、コイツに会った事とか、関わったとか何でもええんやけどない?コイツ、ツグミちゃんの事知ってるのに思い出せんってずっと気にしとんねん」 と、ナオヤが言うとツグミは俺達を睨むように見て言った。 「は?意味がよくわからないんですけど。もういいですか?失礼します」 そう言うと店の中に入って行った。 「あっ…行ってもた。怒ってもた?いきなりすぎたか?」 『そらそうやろ』 俺は店に入っていくツグミをみていた。  
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