記憶

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俺達は店を出てアサミの家へ向かい、歩く。 「なぁ、けっこぉ買い過ぎたんじゃねぇ?」 『あぁ…』 「アサミちゃん寝てんのかな?」 『あぁ…』 「アサミちゃん昼食べてねぇやろから早ょ行ったらんとな」 『あぁ…』 「…」 『…』 「また考えとんか?ツグミちゃんの事」 『あぁ……え!?』 「『え?』じゃねぇ。タケ、お前さっきから全く話聞いてなぃやんけ。ツグミって名前出しただけで反応しやがって。お前今日変やで?」 歩みを止め俺に言うナオヤ。 俺を見るその顔は怒りと心配が入りまじり、複雑な表情だった。 『悪ぃ…。けど、ツグミって奴の事を考えてたら何かはわからへんねんケド、思い出さなあかんかった事を思い出せそうやねん』 「ん?思い出さなあかんこと?』 『あぁ。…俺…ちょっと行ってくるわ』 「…は?!」 俺はどうしてもツグミと話がしたかった。 そしてその思いがとめられず、ツグミの元へ足が動き出す。 「ちょ…タケ!!どこ行くねん!!てか、この荷物どぉすんねん!!!」 『悪りぃ!!やっぱあの女の事気になんねん!!お前はアサミのとこ先行って、何でもいいから飯作ったって!俺も後で行くから!!』 「えっ!!ぉい、タケ!!!!」 ナオヤは猛に叫び、その場に立ちつくしていた。 俺はナオヤの声を振り切りツグミのもとへ急いだ。 早くツグミに会って、このモヤモヤする物の正体を確かめたくて、俺はひたすら走った。  
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