想い

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  「ありが……とう…。ごめん……なさい…」 途切れ途切れ必死に声を出し、アサミは言った。 ナオヤはアサミの顔を見ることに耐え切れず、逃げるように外へ飛び出した。 バタンッ ドアが閉まると同時にナオヤはその場に崩れ落ち、座りこんだ。 傷つけるつもりじゃかった ただ愛しくて… 愛しくて… アサミちゃんが タケのコトを好きなのは なんとなくわかっていた それでも諦めきれなくて 大切に必死に 想いを隠してきた いつか俺の想いを 伝えようと思っていた 報われなくても 後悔しないように それなのに… 「俺は…」 ナオヤは固く握った拳を地面に叩きつけた。 「ありが…とう…ごめん…なさい」 アサミの声がナオヤの中でこだまする。 ナオヤはその場で声を押し殺し、涙をながした。  
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