記憶の断片

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「…どういうつもり?」 『ほらっ』 「やから、何の真似ですか?」 『おんぶ?』 「…」 『はよ乗れって』 「けっこうです」 俺はツグミの前にしゃがみ、おんぶをする体勢をとった。 その姿にツグミは呆れ、ますます苛立った。 「私一人で帰れるんで」 『おぃ、乗れって』 俺を無視し、進もうとするツグミの腕を掴んだ。 「やめてってば」 ツグミは手を振り払おうとした。 『おっと。次は放さねぇ。諦めて乗れって。じゃねぇと、強制的に姫抱っこするで』 「最低」 ツグミは俺を睨む。 『…頼む。俺のせいなんやし、手当てだけやらせてや』 「はぁ…しつこい人ですね」 ツグミは俺のしつこさ…いや俺の根気強さに負け、おんぶを承諾した。  
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