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オレは曲がり角の先の道の景色に違和感を感じた。しかし、何がそうさせているかはわからなかった。オレはそれを本能的に感じ、隣にいる優子に言った。
『引き返そう、優子。』
『どうしたの?急に。』
優子が不思議そうにオレの顔を覗き込む。しかしオレの表情は引きつって決して笑顔とはいえなかった。
こんな感覚は初めてだ。今まで普通の生活をしてきた普通の高校生が感じるには強すぎる圧力…
ただよらぬプレッシャーでオレは押し潰されそうになった。
優子はそれに気付いてはいないみたいだったが、オレのいつもと違う表情から事の重大さを読み取り、真剣なおもむきで頷いた。
『わかった…戻ろうか。』
『ごめんな、急に。わけわかんない事言いだしちゃって。』
オレ達は回れ右をしていつもの帰り道まで引き返そうとした。
その時だった。
『おいおい。つれねぇなあ、しかも良い人材じゃねぇか…そう簡単には逃がさねえよ。』
オレは後方でする声に驚き、慌てて振り返った。
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