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オレの左耳からはキィーンという金属音のようなものが響いている。左頬も熱く、痛い……
しかし高司の高ぶった感情はおさまる事を知らない。我慢して溜めていた大粒の涙がポロポロと頬を流れる。
『見えない相手に畏縮!?何言ってんの!?私は情況がわからないって言ってるでしょ!意味のわかんない事をボソボソとつぶやいて……つぶやきシローかっての!!
アンタってそんなものなの!?アンタの優子に対する気持ちはその程度なの!?
アンタは優子のたった一人の恋人でしょ?
優子は寝ている時、よく寝言で裕司君の名前を呼んでたわ。
あの時に病院で裕司君にあんな態度を取られても、自分を受け入れてくれなくても、まだ裕司君を信じ続けているんだよ?
優子はねぇ…裕司君にしかない゙何か"を知ってるんだよ。だからその゙何か"をずっと信じているんだよ。あれから一度も顔を見せてない裕司君を信じ続けているんだよ。
そんな人に対して裕司君は背を向けるの?自分の小ささを知ってしまったから逃げるの?そんなんだったら優子の恋人なんか辞めてしまえバカヤロー!!』
そして高司は泣き崩れるようにその場にしゃがみ込んだ。
オレしかない゙何か"…優子はそれをずっと信じて待っていてくれているのか。
だが、オレにしかない゙何か"とは一体何なのだ?
オレはそれが何なのかを一生懸命自分の中で考える。
………ザッ、ザッ
グルルルルルル……
高司の後方で犬の鳴き声のような音がした。しかしこの滲み出るような殺気は何だ?それに、足音が大きすぎる……
……!?もしかして!!
『キメラか!?』
オレはかばうように高司をオレの背中へ引き寄せた。
『え?何?』
『後で話す。今はオレの後ろから離れないで…』
グォオオオウ!!
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