第八章

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 今日は敵の本拠点を攻撃するための作戦を立てるので、訓練はしないと昨日の夜に佐々木から連絡があった。それに伴い集合は午前7時で私服を持って来るようにも伝えられた。作戦を立てるのにどうして私服が必要なのだろうか?   疑問は残るが、とりあえずオレはいつもより少し早めの時間にあの公園に集合した。   『おう。なんか調子悪かったみたいやけど、昨日はグッスリ眠れたか?』   『ありがとう。昨日は迷惑をかけてごめん。もう大丈夫だから。』   『そうか、んなら早速作戦を立てるぞ。』   会話をしながらオレは佐々木と幸一の様子がどうもおかしい事に気が付いた。今日の二人の格好がいつもと違う…腕や首もとから小物がちらほら見えるし、服もいつもより高そうだ。それに、ほんのに香水の匂いがする。   『ん?どうした?オレの顔に何か付いとるんか?』   『え?ああ、なんでもないよ…続けて。』   『…?まぁいい。まずは最後の拠点の場所を教えるぞ。 最後の拠点は大村市の黒木町という所や。あそこは周りが山ばかりで何もないから連中もやり易かったんやろうな?   次に作戦だが、今回はウチの1個小隊が攻撃支援をしてくれるらしいから人員を2つの班にわけて同時に2ヶ所から攻める。』   佐々木はそう言ってポケットから小さく折り畳んだ紙を取り出して芝生の上に広げた。   これは……   『拠点の構成図?』   佐々木はニヤリと笑って頷いた。まさかこんな物まで見つけていたとは…   『この図を見る限り入口は一つしかない…。そこでこの拠点の両脇を破壊してできた穴から侵入する。 すでに大多武がやられた事は連中にも連絡が入っとるはずや。正面突破はまず無理やろう…』   『話しはわかるけど、どうやって壁を破壊するの?昨日使った設置型の爆弾でやるの?』   オレの質問に佐々木は首を横に振って答える。   『あれを使うにはまず壁、もしくはその付近に爆弾を設置する必要がある。敵の警戒心が強くなった今、その方法は適さない。だから…』   すると佐々木は幸一に向かって目配せをした。幸一は頷いて得意げにオレに言った。   『84mm無反動砲(ロケットランチャーともいう)を使うんだね?無反動砲ならそこまで拠点に接近しなくても壁を破壊できる。それに万が一、装甲車なんかが出てきたとしても対処は可能だしね。』         ロケットランチャーって…テレビ以外で初めて聞いたよ。
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