第八章

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なぁんだ、グリーンランドか……         『…って、ちょっとタンマ!!明日は敵の本拠地に乗り込むんだよね?なんでその前日にグリーンランドに行くの!? 普通は全てが終わった後に行ったりするもんじゃないの!?』   三井グリーンランドとは福岡県と熊本県の間にある遊園地である。長崎からは高速道路を使っても2時間以上かかる。   長崎県にはこれといって有名な遊園地はないので遊園地に行くには県外に出るしかないのだが、今はそんな事に体力をつかうより明日に備えて体力を温存した方がいいような気がするが…   オレの言葉を聞いた幸一は手の平をヒラヒラと扇がせながら言った。   『終わった後?それじゃあ駄目駄目…。だって明日もし死んじゃったら遊園地どころじゃなくなるじゃん。今やっとかないでいつやるの?ね?』   そして佐々木と幸一はオレに向かって熱いウィンクを何発か放った。   ハハハ…   ……笑えねぇよ。   オレは憂鬱な自分の気持ちを体全体から放出するように、肩をガクリと落として後部座席で待った。…二人がオレの心情を読み取って引き返してくれることを願いながら。       …………2時間後。       そんなオレの願いも虚しく、無事にオレ達は三井グリーンランドに到着した。   まぁ、引き返さない事ぐらいわかっていたけどね…   『着いたぞ、久々のグリーンランドや。最後に行った日からかれこれ2年経つかな?さぁ!!今日は遊びまくるぞ!!ヤロウ共♪』   グリーンランドに到着すると佐々木と幸一は車から勢いよく飛び出して入口の方へと走って行った。   オレはどうすればいいんだよ…   2人を見失うと面倒な事になりそうなのでオレも急いで後を追おうと座席を立った。   『ん?』   後部座席のオレが座っていた位置にチケットみたいな紙がある。どうやら気付かずに尻に敷いていたみたいだ。気になったのでとりあえず拾い上げてそれを確認した。     ~~三井グリーンランド一日フリーパス券~~     『……最初からまとまって行動するつもりはなかったって訳か。』   オレはそのチケットをポケットに入れてグリーンランドの入口へ向かった。
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