第八章

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 オレは受け付けでチケットを渡し、代わりにフリーパスのブレスレットを受け取った。   早速2人を見失ったのだが、佐々木も幸一も今日はそれぞれがバラバラに行動する予定だったのだから、オレも割り切って一人で遊園地を楽しむ事にした。むしろ割り切らないとやってはいけない。   さて、気を取り直して…まずはどのアトラクションから楽しもうか?     ………     …………     ……………     …寂しい。   まさか一人の遊園地というのはこうも寂しいものだとは… このままでは一人寂しく休憩所で一日をすごし兼ねない。 オレはさっきまでの考えを打ち消し、急いで2人を探す事にした。     ……1時間後。     『いない。』   どこを探しても2人は見つからない。というよりも、そもそもこんな広い敷地から特定の人物を探し出すの事が不可能だったのだ。 あの時、グリーンランドに到着した時に2人を離さなければこんな事にならなかったのに…。   『今日は人生で1番充実しない遊園地になりそうだな。』   オレは2人を探すのをあきらめて休憩所へトボトボと歩いた。   ……   オレがゲンナリした気持ちで歩いていると、ベンチに座っているガラの悪そうな2人組の男がこっちを見ながらニヤニヤしているのが見えた。 まぁ確かに夏休みの遊園地に男が1人で歩いていたら違和感はあるだろうが、どうやらそういう感じでもなさそうだ。   こういう連中には関わらないのが1番だな…   オレはその2人組から目をそらし、少し歩調を早めて歩いた。   『ねぇねぇ、なんで急いでどっか行っちゃうの~?』   捕まった。まったく、今日は本当にツイてない。しかし、ここで立ち止まるのは良くない…オレは気にせず歩き続けた。   『今日は1人なの~?』   ……いえ、3人でした。   『こんな所に1人で楽しいの~?』   全然楽しくないッス。   『待てや!!シカトかキサン!!』   あぁ、面倒臭い事になったな……   二人組が眉を細めてこっちに近づいて来る。ヤンキーってなんでこんなに理不尽なんだろう…
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