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ヤンキーは2人揃って眉間にシワを寄せ、グイグイと顔をオレに近づける。顔と顔がくっつくくらいにビッタリと…
そしてヤンキーは昭和時代のドラマで使われるような言葉を口にした。
『オレ達お小遣いが欲しいんだよねぇ?君、今いくら持ってるの?』
『金…持ってないんで勘弁してくれませんか?』
今でもそんなふうに恐喝をする人いるんだ…
ヤンキーはオレの返答にゲラゲラと腹を抱えて笑った。
『あはははっ!!まじウケる!お前みたいな地味男君は金がないと恋人もできないでしょ!?駄目だよ~金持ってないと。』
ヤンキーの言葉にオレは少し苛立ちを感じた。こういう場合は軽く受け流すのが利口なのだろうが、今のオレにば恋人"というフレーズを聞き流す程の心の余裕は無かった。
『恋人はいます。』
『んなら何で今彼女と一緒じゃないんだよ?』
一瞬、胸が締め付けられるのを感じて言葉がつまる。
『それは…』
ヤンキーはさらに笑いのボリュームを上げてオレを指差した。
『何?やっぱいないんじゃん。強がりかよ、カッコ悪!!まぁ、もし彼女がいたとしても随分たいしたことのない彼女だろうよ。いいから早く財布見せろよ!』
……
『……もう一度言ってみろ。』
『んだと?キサン…。』
オレは我慢できず、両手でヤンキー2人の胸倉をつかんで威嚇した。
ヤンキーはオレのその腕を振り払い、冷たい視線でオレを見下ろす。
…ドス!!
何の兆候もなくヤンキーはいきなりオレの腹部にショートフックを放った。
(マズイ!油断した!!)
もちろん、突然だったのでオレは避けることもさばくこともできない。ヤンキーの拳は正確にオレの横っ腹を捕らえた。
………あれ?
見事に拳は当たったにも関わらず、衝撃を感じるくらいでダメージはほとんど無い。しかし、相手が手加減して打ち込んだわけでもなさそうだ。これはもしかして…
……強くなってる?
今まで化け物や能力者の相手ばかりしていた。
今までの訓練や実戦で普通の人間とどれほど力の差ができたのかかがいまいちわからなかったのだが…まさかここまでとは。
しかしヤンキーは頭に血が上ってしまっていてオレにダメージが無いことに全く気づいていない。
『どうしたぁ?何にもしないんならもう一発いくぞ!!』
『……あんまり調子に乗るなよ。』
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