第八章

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 いろんな不満はあったが、また2人とはぐれてしまってはたまったものではない。ここは何も言わずに大人しく2人の後に付いていく事にした。   『何してんだ裕司!!早くしないと置いていくぞ!!』   はぁ……       ……4時間後。       オレ達はほとんどのアトラクションを遊び尽くしたので、そろそろ長崎へ帰る事にした。 当初の2人の計画では夕飯は長崎に帰ってからとる予定だったらしいで調度よい。   だがオレは2人に振り回されたお陰でヘトヘトになっていた。もはや2人の後ろを付いていくだけで精一杯である。   佐々木はそんなオレを見ると呆れた様子で深いため息をついて言った。   『何だお前…せっかく高いガソリン使って楽しい所に連れて来てやったのに。少しは楽しいそぶりでも見せたらどうなんだよ?』   『2人のスタミナと一緒にしないでよ。今日は訓練の時より走ってんじゃん。』   『ん?今日はそんなに走ったんか?遊ぶのに夢中であんまり覚えてねぇな…なぁ幸一。』   『そうだね。オレもそんなに走った記憶はないなぁ。』   この2人にはもはや何を話しても無駄なのだろうか?   しばらくこんな話しをしながらオレ達はグリーンランドの門をくぐった。   幸一が駐車場まで行って車を持ってくるらしいので、オレと佐々木はグリーンランドの出入口の付近でその帰りを待つ事にした。   『なぁ、裕司。』   2人きりになってすぐに佐々木が遠くを見るような目でオレに話しかけてきた。何か話があるのだろうか?   『なに?佐々木さん。』   『お前はあの時、病院でオレに何と言ったんだ?どうしたいと言ったんだ?』   『あの時?…アイツを握り潰してやりたいって言ったけど。』   『そうや。オレは今までお前を変えるために訓練をしてきた。お前が強く変われるように訓練してきたんや。でもな、最初に思ったその気持ちだけは変えるんじゃねぇぞ。わかったか?』   どうやら佐々木はオレの悩みの種を知っていたらしい。 昨夜の出来事ですでにオレの悩みは消えていたのだが、オレはそんな佐々木の不器用な励ましが無償にうれしかった。   『佐々木さん、ありがとう。』   佐々木は照れ臭そうに頭をポリポリとかいて小さく返事をした。
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