第九章

6/30
前へ
/150ページ
次へ
 30分程山の中を歩くと前方にテントのような物が見えてきた。あれはいったい何だろうか? オレがそれを不思議そうに見ていると佐々木が説明をしてくれた。   『あれは待機用のテントや。あそこに警戒員が自分の順番がくるまで待機をしとる場所や。直接戦闘小隊も中におるはずや。』   そのテントの中には味方部隊と連絡を取り合うための無線機も装備されているらしいので、幸一と連絡をとるためにも少し急ぎ足でそこに向かうことにした。       テントの中に入ると外の空気とは違いそこはすでに戦場と思える程の重たい空気が立ち込めていた。 ある隊員は武器の手入れをしていたり、またある隊員は目を閉じて集中力を高めたりと、それぞれがそれぞれの方法でモチベーションを高めている。   『通信班、向こう側の状況を確認して報告。』   『了解。』   佐々木は無線機の前に座っている隊員に命令をすると、その隊員は無線機に向かって暗号のような言葉を発した。 しばらく無線機とやり取りをした隊員は佐々木に顔を向けて淡々と状況説明をした。   『綱崎曹長も待機所に到着しました。現在テントにて戦闘準備中であります。』   『よし、わかった。現在時0930、無反動砲の発射時刻は1030とする。向こうに連絡しろ。 ……裕司、オレ達も戦闘準備をするぞ。』   『え?準備?』   ドサッ   佐々木は急な展開に混乱しているオレの足元に服とブーツを置いた。   『…これは?』   『迷彩の戦闘服ど半長靴"というブーツや。丈夫で燃えない素材で出来ていて、ブーツに関しては電気を通さないようになっとる。今お前が着とる服よりは役に立つはずや。』   オレは着替え終わると、ニヤニヤしながら佐々木に向かって敬礼をした。 佐々木もオレを見てニヤリと笑った。   『なかなか似合うやないか。よし…派手に攻城すっぞ!!』
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加