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『うぉおおおお!!』
男が優子を殴ったその瞬間、オレは爪を立てて男の方へがむしゃらに走った。そしてオレはその爪を全力で男に向かって振りかぶる。
何故、オレは爪で攻撃をしようとしたかはわからない。普通なら拳で殴るはずなのだが…おそらく本能的なものだろう。
男はオレの爪が触れるか触れないかギリギリのところでヒラリと身をかわした。そして鼻を鳴らし、オレを見下す。
しかし何故か男の腹からは血が流れだした。男はそれに気付くと表情が急変し、今度は嬉しそうに笑ってオレに言った。
『いいねぇ、お前いいよ。…さぁ来い!!このまま階段を登り続けて、オレ達と同じ土台に立て!!』
『うぁあああああ!!』
オレは体の制御がきかなくなっていた。男は何かを企んでいる…。だがオレはそれを気にする余裕なんてなかった。オレはただ、がむしゃらに男に向かって行った。男は満足気に言った。
『そろそろ回収するか。もう十分な゙術(すべ)"は知っただろう。』
オレは再度攻撃したが避けられ、今度は腹部にカウンターパンチを受けた。オレは意識が飛びそうになり、力無く地面に膝をつく。
そして男はオレに右の掌をゆっくりと向けた。
『オレも゙術(すべ)"を使わせてもらうぞ。術゙変換"はつど…』
男が何かを言いかけた時、地面に落ちていた石が男に向かって飛んで行った。男は慌てて向かってくる石を払った。
『あらあら、またスカウトか?仕事熱心なこったねぇ。』
後方から声がした。振り返るとそこには痩せ型の男が立っている。
オレの意識はここでいったん途絶えた。
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