第九章

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 爆音と共に体の後ろ側全体を鞭で叩かれたような鋭い痛みが走った。これが、衝撃波というものか…。 弾丸は美しい弧を描いて敵拠点の側面に見事に命中し、侵入するのに十分な大穴を開けた。 それを確認した佐々木は大きくガッツポーズをとって叫ぶ。   『よし命中!!一気に叩き込むぞ、お前ら!!突撃やぁ!!』   そしてオレ達は佐々木を先頭にして敵拠点に向けて全速力で走った。     ウゥ――――!!     敵拠点にたどり着くと、中は煙りが立ち込めてスプリンクラとサイレンが作動していた。作戦は大成功である。 オレ達はすぐに幸一達と合流して異常の有無を確認した。   確認を完了した佐々木は皆に次の指示を達する。   『オレと裕司とウチの直接戦闘小隊は今から2階へ向かう。 幸一と残りの直接戦闘小隊はここで敵人員の発見及び捕獲をしろ。キメラがでてきたら別命なく攻撃。 だが、能力者もしくはその可能性がある者がでてきた場合は攻撃は避け、直ちに幸一に報告。 ここでの全ての作業が終了したならば、現在地にて警戒にあたれ。 以上、事後の行動にかかれ!!皆、生きて帰るぞ!!』   『『了解!!』』     グオォォォオウ!!     佐々木が指示を出し終えるとほぼ同時に、どこからともなく大量のキメラが姿を現した。 幸一と直接戦闘小隊は強固な隊形を維持しつつキメラの大群に突っ込んでいく。しかし、いくら幸一でもあの数はマズイ。   『幸一さん!!』   『待て、裕司!』   幸一達の援護に向かおうとしたオレの腕を佐々木が即座に掴んでオレを止めた。   『さっきのオレの指示を聞いたのか?オレ達にはオレ達、幸一達には幸一達にそれぞれのやるべき事がある。わかったか? アイツらは大丈夫や。なんせオレの部下…死んでも死にきれん連中しかおらん。 アイツらを信じろ!!』     …そうだ、今はオレだけが動いている訳じゃない。皆と共に戦っているのにオレが皆を信用しなくてどうする? 今、オレのやるべき事は信じて突き進むだけだ。   『わかった…行こう、佐々木さん!!』   オレ達は2階へ向けて階段を駆け上がった。
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