第九章

10/30
前へ
/150ページ
次へ
 オレは背後に寒気を感じた。オレは慌てて後ろを振り向いたのだが、すでにもう手遅れだった。   ガス!!   佐々木が何者かの攻撃により横に大きく吹き飛ばされた。とっさの反応でどうやら直撃は免れたようだが、オレと佐々木の距離は大きく開いてしまっていた。 そして佐々木に攻撃をくわえた者を確認した仲間の一人が、周りに知らせるように大声で叫ぶ。   『能力者だー!!』   この拠点に来て初めての能力者…本拠地なだけに大多武にいた能力者よりも実力は上だろう。 相手の狙いはおそらく佐々木だ。早く援護に回らなければ…オレは急いで佐々木の元へ向かおうとしたのだがキメラ達が邪魔をしてなかなか前へと進む事ができない。   『くそ!こんな奴らを相手してるヒマはないのに…』   オレがキメラの大群にてこずっていると部屋の中央から壁のような物が降りてきて部屋を二つに別けられてしまった。辺りを確認したが、こちらの部屋には佐々木の姿も能力者らしき人間も見当たらない…完全に相手の術中にはまってしまったようだ。 こうなっては佐々木の身が危険だ…オレは壁を叩きながら佐々木が無事かを確認した。   『佐々木さん、佐々木さん!無事だったら返事をして!!』     …………     『っつぅ……誰だかわからんが派手に殴りやがって…コッチは大丈夫や、お前も気をつけろや!!』   よかった、無事みたいだ。佐々木の無事は確認できたが、戦況は不利なままである。 佐々木の事が気にはなるが、だからといってこの状況をどうすることも出来ない。 今は佐々木を信じてオレのやるべき事をやるだけだ。         佐々木さん、無事でいてくれよ…
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加