第九章

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『アタタ。おいおい…不意打ちたぁ、ちょっと卑怯じゃねぇのか?』   佐々木のその言葉に男は見下したようにフンと鼻で笑って言った。   『それはお互い様だろう。あんたらだって合戦の報告も無しに基地に風穴を2つもあけたんだからな。』   『そりゃどうも、すいませんでした………ね!!』   ガス!!   先に仕掛けたのは佐々木の方だった。佐々木は話を終えると同時に男の懐に素早く潜り込み、強烈な右上段突きを打ち込んだ。 男は不意をつかれて少し動揺しながもしっかりと佐々木の攻撃を捌いた。 しかし、ここまでは佐々木の想定内である。佐々木は床に落ちている鉄の破片を見てクスリと笑った。   『カウンターを合わせなかった今、お前の負けは確定した。喰らえ!!引力10の8乗ば………』   佐々木の万有引力操作は不発に終わり、逆に男の拳が佐々木の月影(肋骨の下部にある急所)を正確にめり込んだ。佐々木は苦痛に顔を歪ませるが、すぐにバックステップをして男との距離をとった。   男は佐々木を見ながらニヤニヤと不気味に笑っている。   『アバラいっちまったか?おしかったなぁ…もう少しお前の゙操作"が早ければ勝負は決まっていたのになぁ。ククク…』     佐々木はこの時からすでに異変に気付いていた。ただ単に゙操作"が遅かっただけではない、何か違和感を感じる…しかしその何かが具体的にわからない。   (おそらくそれがヤツの゙術(すべ)"か…)   佐々木はこのまま男との距離を保ち、相手の゙術(すべ)"を探ることにした。 しかし男はその余裕を与えようとはしなかった。守りの体制に入った佐々木に対し、男は強引に攻撃を仕掛ける。   『おらおらぁ!突っ立ってるだけじゃオレには勝てねぇぞ!!』   佐々木は必死で防御しながも反撃のチャンスを伺った。   (……今や!!)   男の大振りの攻撃の隙をついて佐々木は再度引力を゙操作"しようと鉄の破片を対象にとった。     しかし…     バキ!!   『ぐ…あっ。』   またも佐々木の゙操作"は不発に終わり、男からの強烈な一撃を喰らう。   『何度やっても無駄だ。さて…そろそろカタをつけさせてもらう。 自己紹介が遅れたな。オレは長崎゙白い家"の幹部、坂江 学(さかえ まなぶ)…』   坂江はゆっくりと構え、ニヤリと笑った。     『ダンスの時間だ…』
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