第九章

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佐々木の言葉を聞いた坂江は呆れてポカンと口を開けていたが、やがて馬鹿にしたように大袈裟に笑って言った。   『はははは!!何かと思えば…その通り。オレの゙術(すべ)"は無視、オレに対するすべての万有引力の値を0(ゼロ)にする能力。 しかしだ、オレの゙術(すべ)"が解ったところでどうすることが出来るというんだ!!万有引力を無視する事のできるオレの前ではお前の゙術(すべ)"は全く通用しない!! ………結果は変わらないんだよ。』       そう…坂江の゙術(すべ)"は万有引力無視だったのだ。坂江はその能力を使って佐々木に気付かれない程度に空中でとどまり、多彩な連続技を繰り出していたのだ。   しかし坂江の言う通り、相手の゙術(すべ)"がわかった今、佐々木の゙術(すべ)"は坂江に対して全く機能しない。 この絶対的に不利な状況は変わらない…     …ように思えた。       ……だが   『あっはははは!!とうとう言っちまったな!!自分の゙術(すべ)"を認めたな!!』   佐々木は糸が切れたように手を顔に当て、体を揺らしながらゲラゲラと激しく笑った。 そしてすぐに真面目な顔に戻ると、また坂江を指差して自信に満ちた声で言った。   『オレが負ける?お前は何にもわかっちゃいねぇ。 敵の゙術(すべ)"がわかった以上…』   佐々木はニヤリと笑い、ゆっくりと中指を立てて坂江に向けた。         『このオレ様にあるのば勝利"の文字だけや…!!』   『……!!言わせておけば…いいだろう、今すぐにでも殴り殺してやるよ!!』   佐々木の挑発に怒りをあらわにした坂江は鬼の形相で佐々木へと向かって行った。 しかし佐々木から余裕の表情は消えず、ドシリと構えて両手をいっぱいに伸ばして叫んだ。   『万有引力、10の……』   『馬鹿が!!オレにはお前の゙術(すべ)"は全く通用しねぇんだよ!』         ガスッ………!! 
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