第九章

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『菅藤、お前の゙術(すべ)"は視覚系…光の波長を操作して穴の映像を作り出したんだろう。 だからオレが穴の端まで攻められた時に最後まで攻撃してなこなかったんだ。落ちないという事がばれると困るからな。 つまり、あの穴は偽物!! そしてお前の゙術(すべ)"はオレ゙術(すべ)"と相性が悪い…。   これで形勢逆転だな…覚悟しろ!!』     ………     『……くくくく。』     菅藤は背を丸めて、肩を揺らしながら静かに笑った。何がおかしいのだ?勝ち目がないと思っておかしくなってしまったのだろうか?   すぐに菅藤はゆっくりと体を起こしてオレを見た。腹部の出血が止まっている…どうやら傷はあまり深くなかったようだ。 そして菅藤は不気味な笑みを浮かべながら言った。   『素晴らしい…実に素晴らしいよ。この短時間、しかも戦闘間に相手の゙術(すべ)"を見切り、適切な行動をとる。とても高校生とは思えない戦闘能力の高さだ!!   しかし、しかしだ…形勢逆転というのはどうも引っ掛かる。まだオレの゙術(すべ)"の細部を知らないで、そのような事がはたして言えるのか……』   何を行っているのだ?゙術(すべ)"ならわかったと言ったはずである。まだ何かを隠しているという事なのだろうか?   菅藤は話しを続けた。   『さっきオレは言わなかったか?本当の゙闇"をみせてやると、な。 今から見せてやるぞ、本当の゙闇"をな……。』   そして菅藤は手をゆっくりとオレに向けた。   『゙術(すべ)"変換発動!!消えてなくなれ!!』     次の瞬間、目の前にいた菅藤の姿が消えた。 あの時と同じである…オレは防御の体勢にはいろうとガードを高く構えようとした。     ……しかし     『え?無い?』   オレの腕が無いのである。それだけではない、脚も顔も腹部も…゙オレの姿"がどこにも見当たらないのである。     ……ガス!!!       突然、顔面に鈍い痛みを感じ、オレは後方へと吹き飛ばされた……おそらく。   いったい何が起きているのだ?今わかるのは顔面に感じる痛みだけである。     『くくく…何も解らないみたいだな。そうだ…お前は推測を誤ったのだ。オレの゙術(すべ)"のな…死ぬ前に特別に教えてやろう……』         『オレの゙術(すべ)"ば変換"!!対象の範囲の全ての光の波長を不可視光線の波長にする能力だ!!』
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