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病院まではあっという間に到着した。オレは慌てて車を飛び出して病院の中に入り、受付で優子のいる部屋をきいた。
そして優子がいる階まで階段を一気に駆け上がった。
『優子!!』
優子のいる部屋の扉を開けた。そこはオレが想像していたよりも重たく、そして暗かった。
一人の患者がこちらを振り向いた。隣には優子の友人であるクラスメイトの女の子が座っている。
患者は顔全体に包帯を巻かれ、左手にはギブスをしていた。患者は目に涙を浮かべながら力無く震える右手をオレに向けて言った。
『裕司…君。』
オレの足がズンと重たくなった。あの時の出来事が現実であることを1番実感した瞬間だった。
『裕司…君』
優子に間違いない。だが、オレは足を前へと進める事ができなかった。昨日まで普通の生活をしていんだ。もしかして今オレが見ているものも夢なのかもしれない…。今から帰って家で眠って、起きたらまた学校に行って優子と楽しく生活するんだ。
オレは首を左右に振り余計な考えを打ち消した。しかし、足は現実を拒んだままである。
優子は右手をぱたりと下ろし、涙を流した。しかし、その涙も流れてはすぐに包帯に吸収されて見えなくなってしまった。
優子はオレに背を向けて毛布をかぶり、体全体を震わせて叫んだ。
『出てってよ…出てってよ!!』
オレがしばらく立ち尽くしていると枕が顔に飛んできた。オレは優子の友人に『優子を任せました』と一言いって部屋を出た。
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