第二章

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 オレは男の車に乗りこみ、車を走らせた。   しばらく車内で沈黙が続いた。 オレは男に聞きたいことが沢山あったのだが、まだ男の性格をつかめない。ちょっとしたオレの言動で男が機嫌を損ね、急に暴れだしたりされたらと考えると何も聞けなかった。   そんなオレの気持ちを察したのか、男は口を開いた。   『そういやぁオレの名前を言ってなかったな。オレの名前は佐々木 健康(ささき たけやす)、職業は自衛官や。よろしくな。』 自衛官?自衛官がこんな平日に何してるんだ?オレはイマイチ男が信用出来なかったので、思い切って聞くことにした。   『自衛官が何で平日に仕事してないの?公務員でしょ?怪しすぎるんだけど…。』   佐々木は最初からこういう質問がくるのを予想していたようにオレの質問に即答した。   『自衛隊の中にも沢山の職種がある。オレの所属は特殊作戦群、今回のような゙並の人間"では手の負えない相手を対象とした任務を遂行する部隊だ。だから今のオレは実は勤務中なんだよ。わかったか? それに敵ば術(すべ)"を知っていた…オレのような人間じゃないとどうしようもない。゙白い家"との関係もあるみたいだしな。』 『白い家?』   オレは初めて聞ぐ白い家"というフレーズに違和感を覚えた。佐々木は眉ひとつ動かさずに言った。 『゙白い家"についてはまた今度話す。今はまず゙術(すべ)"についてお前自身が深く理解し、そしてそれを自由に使いこなせるようになる必要がある。まぁ仇をとりたいならオレ達と同じ土台に立つ必要があるという事やな。』   『゙術(すべ)"を理解?よくわからないんだけど゙、術(すべ)"って一体何なの?』 オレがそう聞くと、佐々木は待っていましたと言わんばかりにニヤリと笑って言った。   『゙術(すべ)"とは世界のありとあらゆる常識を粉々にブッ壊しちまう方法の事だ。』
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