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『常識を壊す?銀行強盗をしても罪にならないようにするとか?』
オレの質問に対して佐々木は軽く肩をあげて呆れたようにため息をついた。
『んなわけあるか…オレは政治家じゃねぇんだ。オレが言った常識とはな、物理法則の事や。
温度、時間、速度、゙万有引力"、作用に反作用。これらは今の世界において揺るがない事項…。例えば…殴れば相手に力の作用が伝わるよな?これは誰もが知っている゙常識"だ。』
『それを…壊すって事?』
『ああ、そうだ。』
オレは思わず笑い出しそうになった。もしそうだとしたら物の温度を急に変えたり出来る?そんな事有り得ない。オレは笑いを堪えながら言った。
『そんなの有り得ないでしょ?よくそんな事平気で言えるねぇ。オレはあんまり頭は良くないけど、それくらいは無理だってわかるよ。』
佐々木はいたって冷静だった。オレの言葉に腹を立ててる様子も無かった。
『まぁいい。近いうちに゙術(すべ)"を知っている人間かキメラがお前を殺しか拉致をしに来るやろう。そうすれば嫌でも理解しなくちゃいけない時が来る。それからでも遅くないからな。
しかし、あいつ達は行動が早いからな…こっちも気をつけて行動しないと。』
オレの頭にクエスチョンマークが並んだ。しかし会話の中で慌てなくていいというかんじの言葉があったので今は深くは立ち入らないようにした。
車が止まった。しかし、そこはオレの家だった。佐々木との会話で前を見てなかったのだが、まさか目的地がオレの家だったとは。ついさっき仇討ちに協力すると言ったのに…。
オレが車の前で肩を落として立ち尽くしていると佐々木はオレの背中を押して言った。
『ほら、早く準備をしろ!!時間はあんまり無いんだよ。』
……そういう事か。
オレはこの時、初めてこの仇討ちが長期戦になる事を理解した。
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