第二章

10/10

52人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
『…よし。今日はここまでだ。裕司、帰る準備をするぞ。』   その佐々木の言葉を聞いて、ふと時計を見ると時間は17時を回っていた。…こんなに時間が経っていたのか。   オレはまだ続けたかったのだが、佐々木は笑いながら『公務員は17時で課業終了なんだよ』と言って車へ乗り込んだので訓練は強制終了された。   オレも仕方なく帰る準備をして佐々木の車に乗る。   『お前は構えは良い。さらに構えの練習がしたかったら家でしろ。姿鏡を見ながらやれば、自分の駄目な所がわかるはずや。 それに明日からば突き"の練習に入るからな。今日中に構えは完璧にしておいたほうがいい。』 車の中で佐々木がオレに言った。確かにオレの部屋には姿鏡がある。部屋で練習すれば親に気付かれる事もない。 『あとだ。明日からもこんな日々が続く。お前は朝学校に行く時間に学校に行く格好で出るんや。そうやって親にはきちんと学校で補習を受けてる自分を見せろ。親に迷惑をかけたくないと思うならな。』   佐々木の車はオレの家の近くのコンビニに止まった。ここで降りろってことか…。オレはドアを開け車から出た。そして今日一日オレに付き合ってくれた佐々木に軽く頭を下げた。   『佐々木さん、今日はありがとう。また明日からもよろしく。じゃあ』   オレは家に向けて歩き出した。すると佐々木はオレの名前を呼んだ。まだ何か用があるのだろうか。   『帰ってしっかりストレッチをしとけよ。明日普通に訓練がしたかったらな。』   佐々木はニヤリと笑って手を挙げた。オレはまた軽く頭を下げた。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加