第三章

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 しかし展示を間違えたとはいえ、あの空気は本物だった。オレは佐々木がただの上から物を言うだけの口だけ男ではないという事を確信した。   『最初はゆっくりやるんや。出来ない時に早くやると一つ一つの動作がどうしても雑になる。始めから個癖をつくっておくと後々それの矯正に時間がかかるし、そんな時間はお前にはない。』   オレは佐々木に言われるがままに実施した。   しかし、ゆっくりすることがこんなにキツイとは…。突きを10回も繰り返さないうちにオレの足はガクガクと笑ってしまっていた。   そんな状態でも佐々木の指導は止まらない。   『膝をしっかり曲げろ!!そんなんじゃあ撃力は生まれない!』 佐々木の言っている事はわかるがオレは普通の学生だ。一日で完璧になんて出来ない。 なんでここまでして…そんな感情がオレの中に生まれていた。 『今度は拳の軌道が悪いぞ。全てをスムーズに連動させるんや!!もう一回!!』   今日の午後の訓練は休憩無しで4時間程続いた。
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