第四章

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 始めは厳しい訓練だったが、一週間もこれを続ければ午前中のロードワークには余裕がでてきた。 以前は完走することに意識をしていたのだが、今ではどれだけ早く走れるかと考えるくらいだ。   今日もいつも通り午前中のロードワークを終え、昼寝をし、午後から徒手格闘の訓練を実施したのだが、佐々木の様子が少し変だった。   佐々木は訓練中には絶対に白い歯を見せない。まぁ、笑わないって事だ。だが休憩になるといつも楽しくオレと話しをしてくれていた。 しかし、今日は休憩に入っても佐々木の顔は笑ってなかった。何か遠くを見ているみたいだった。   オレは佐々木のいつもと違う雰囲気が気になってしようがなかった。   『佐々木さん…どうしたんですか?いつもとちょっと違いますよ。』   佐々木は遠くを見たままオレの問いに答えた。   『もう嗅ぎ付けやがったか…連中も早いな。』   『…?なんの事です?』   『よかったな裕司。たぶん今日、お前の頭の中で゙常識"という物が音を立てて粉々にブッ壊れる感覚を味わえるぞ。』   佐々木は無表情でオレの手を引き、無理やり車に乗せた。まだ訓練の途中だったのだが…。   そして車はどんどん人気のない山道へと進んで行った。オレは突然の事態に混乱していた。   『どうしたんですか?まだ訓練の途中だったのに。』   『………。』   佐々木は何も答えなかった。   そして佐々木の車は誰もいない山の中で止まった。   『ここは自衛隊が演習等で実際に使用している゙大野原演習場"や。ここなら人気を気にせず戦える。裕司…今から初めての実戦になるが今日は見ておくだけでいい。安全なところから見てろ。』   実戦…?急な展開にアタフタするオレ。とりあえず車の後ろに隠れて佐々木の様子を見ていた。佐々木はニヤリと笑い、指をボキボキとならしながら言った。   『こそこそと隠れてないで出て来たらどうや?おるのはわかっとるんぞ。』   『キメラ!!』   ガサガサと前方の茂みが揺れた。何かがいる…。         次の瞬間、オレは今までに味わった事の無いほどの恐怖を感じた。
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