第四章

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 茂みから出てきたのは人間でも野性の動物でもなかった。   2メートルを裕に超える身長にゴリラのような体、顔は狼のようで鋭い牙がギラリと光っていた。  オレは初めて見る゙生物"に驚きが隠せなかった。オレの膝は恐怖でガクガクと震え、立っているのもままならない状態になっていた。   しかし佐々木については全く驚く様子がなく、いたって冷静である。もしかして実戦とは、この化け物と戦うということなのか!?   『驚いただろう?裕司。こいつはな、゙キメラ"と言って連中が作り出した合成生物や。生半可な攻撃じゃダメージは与えられねぇ。 だがちょうど良かった。人間だったらオレが手加減しちまうからな。こいつが相手ならオレの゙術(すべ)"が全力で使える』   オレはこの時ほど佐々木が愚かだと思ったことはなかった。相手は大きい…大きさだけならチェホンマンくらいだが、そんなものは比べ物にならないだろう。 過去にオレが佐々木に向かって行った時は手も足も出せなかったが相手は化け物…゙普通の人間"がどうこう出来る問題では無い。 グルルルルル…   キメラはその鋭く尖った牙を剥き出しにして佐々木を睨みつけていた。 しかし佐々木はそれを見てニヤリと笑う。   『さっさとかかって来いよバケモンが!!ビビッてんじゃねぇのかぁ!!』 グオオオオオオゥ!!   興奮したキメラは佐々木に飛び掛かり、オレの胴ほどもあろうと思われる巨大な腕で殴り掛かった。だが佐々木はそれを全く避けようとはしない。   (よけて!佐々木さん!!) グオオオオオオゥ!!     ドゴン…!! ………… 静寂が続いた…。しかしそれは佐々木によってすぐに解かれた。   『ははっ。やっぱキメラは力だけで肝心のオツムについては猿以下だな。』
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