第四章

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 キメラの拳は佐々木に当たるぎりぎりの位置で急に止まった。 何故だ?佐々木が何かをした様子もない。   …ゴトン。   キメラから何かが落ちた。何だろう?オレは目を凝らしてキメラから落ちた物を確認した。   『………岩?』   キメラから落ちていたのは人の頭ほどの大きさの岩だった。しかし、どうやってくっついていたのだ?   佐々木はニヤリと笑い、オレに言った。   『裕司、目ん玉こじ開けてよく見とけ。これがオレの知る゙常識"のブッ壊し方や!!』   佐々木は右手をキメラ、左手を先程キメラから落ちた岩に向けて叫んだ。   『万有引力…5.0×10の5乗や!!!』   その瞬間、岩はキメラの腹部目掛けて凄まじい速度で飛んで行った。 そしてそれはキメラに命中し、キメラは為す術なく吹き飛んだ。   『まだまだぁ!!』   佐々木が手を向ける度に岩はキメラに衝突し、ドゴンと鈍い音を立てる。キメラはピクピクと震えていたが、力尽きたのか、やがて全く動かなくなった。 いったいどうなってるのだ!? 何故、だれも触れていない岩がひとりでにキメラに飛んで行ったのだ!? キメラを倒し終わった佐々木は、初めて見る現象に混乱しているオレに向かってニヤリと笑いながら言った。   『オレの゙術(すべ)"ば操作"。対象の2つの物体間にはたらく万有引力を操作する能力。どうや…お前の常識、粉々にブッ壊れたやろ?』 
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