第四章

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『佐々木さん…さっきは一体何をしたの!?』   オレはキメラが動かなくなったのを確認した後、車の影から出てきて佐々木に言った。 オレにはまるで佐々木が魔法みたいなものを使ってキメラを倒したように見えた。   しかしそんなわけない。そんな事があるわけがないのだ。オレがさっき見たのは何かの見間違いかもしれない…佐々木はきっとオレから見えない位置で何かをしたのだろう。オレは本当の事が知りたかった。   しかし、佐々木が返した答えはオレの想像とは全く違った。   『だからさっき言ったやろ。万有引力を操作したって…。ところで裕司、万有引力って何かわかるか?』   『え…と、ちょっとは…。』   万有引力…聞いたことはあるが、それが具体的にどういうものなのかはオレは知らなかった。   『その感じじゃほとんど知らないみたいだな。なら最初から説明するぞ。   質量を持つ二つの物体間にはそれぞれを引き合う力、すなわち引力が微量ながら生じる。その事を゙万有引力"と呼ぶんや。   微量がどれほどのものなのかは公式で求められる。物体1と物体2を例として考えてみるぞ。   物体1の質量をMキログラム、物体2の質量をmキログラムとおく。そしてその二つの物体の距離をrメートルとする。すると万有引力Fは次の式で表される。        M×m F=―G――――――     (rの2乗)   ちなみにGっていうのは定数で値は   G=6.67259×10の-11乗や。   定数Gが限りなく小さいことから万有引力Fの値も限りなく小さくなる。したがってオレ達はその微量な万有引力に気付く事なく生活しているって事や。まぁ、質量が大きい地球とかになると話しは別だがな。   ちなみにオレはその定数Gを好きな数に置き換える事が出来る…というかその方法を゙知っている"と言ったほうがいいな。  だからさっきキメラと岩との間の引力が強まって岩が飛んで行ったって訳や。解ったか?』         ………どうやら本当に魔法だったみたいだ…。
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